新型出生前診断が普及することで、社会が変わる。

回避不能

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私たちの生活は、スマホで支配されている。

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何か知りたいことがあれば、すぐにネットにアクセスできるし、写真を撮りたいと思えば、すぐに撮れる。誰かと連絡をしたいと思えば、すぐに繋がれる。

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こうしてテクノロジーは進化していった。

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こうしたテクノロジーによる進化は、私たち人間は受け入れるしか方法はない。

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今から、スマホを全く使わない生活になると言われたら、私たちはこれまでどれだけ多くのことをスマホに頼ってきたか分かる。

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テクノロジーの進化というと、科学技術ばかりに目がいくが、医療というものも常に進歩している。

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新型出生前診断も、その医療の進歩によって生まれたもの。

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多くの人に受け入れられるかどうかは、分からないが、現に多くの妊婦さんが受けたり、希望している。

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この検査を無くすことは、スマホと同じように不可能だと思う。

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新型出生前診断に限らず、多くの検査、治療はどんどん新しくなっていく。

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今、医学の研究では「遺伝子」に焦点が当てられている。

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多くの病気は、遺伝子が壊れたりすることで起こることが分かったから。

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今後ますます遺伝子の検査または治療は発展していく。

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そして、私たちはこの変化に対応していかなければならない。

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つまり、否定しようが文句を言おうが、「そうなっていく。」のです。

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倫理的な問題が出ても、世界各地ではこうした遺伝子の研究が止まることはないでしょう。

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これが、テクノロジーの発展なのです。

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私たちが、こうして新型出生前診断を受けられること自体、10年前には考えられなかったことです。

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妊婦さんの血液を10cc採取するだけで、お腹の子どもの染色体や性別が分かるなんて。

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でも、時代は変わっていくのです。

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だから、私は新型出生前診断について「知ること」がとても大切だと思うのです。

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今でこそ、スマホは普及しましたが、中には上手く使いこなせない人もいます。

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そういう人たちは、情報を発信することも、受け取ることも簡単ではありません。

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テレビやラジオ、雑誌、新聞、広告などの情報だけで知識をつけなければなりません。

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新型出生前診断にしても、命の選別や中絶を促す検査だという間違った考えの論争にばかり注目されて、検査自体のあるべき姿が見失われています。

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先程もお話ししましたが、医学の研究では、遺伝子の研究が進んできています。

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新型出生前診断は、その一つの成果とも言えます。

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血液からDNAを解析して、染色体を見ることなんて、夢のような話でした。

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それが、今受けられる。

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その検査が、良いか悪いかは別にして、私たちがこれまで知ることの出来なかった情報を知ることができるようになったのです。

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これは、とても凄いことです。 

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また、中国ではお腹にいる子どもの遺伝子治療の研究者も進んでいます。

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クローンとまではなりませんが、先天性の障がいをお腹の中で見つけ、生まれるまでに治療をしてあげて、その子が長生き出来るように「そうなっていく。」のです。

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医学の目的というか、ゴールは、「多くの人が、健康で、そして病気なく、出来るだけ長く生きること」にあります。

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今でこそ、ダウン症の方でも長生きすることができ、高齢者施設でもたまに見かけるようになりました。

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医学というのは、障がい者をゼロにすることでは決してありません。

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重度の障がいは、長く生きることが難しいから治療をしよう。

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障がいがあっても、長く生きられるような治療をしよう。

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そうやって医学は進歩しているのです。

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インフルエンザもそうです。

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今でこそ、予防接種を受けることで重症化しないように出来ますが、以前はインフルエンザで亡くなる方もいました。

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医学は、常に新しい命を誕生させ、そしてより長く生きられるためのものなのです。

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新型出生前診断は、医療の進歩の賜物ですから、結局私たちがどう扱うかにあるわけです。 

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検査が悪いのではないのです。

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問題なのは、こうした医学の進歩を上手く使えない私たちにあるのです。

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それは、社会的サポートの不足や、高齢出産に伴う不安(夫婦が先に亡くなった場合、残された子どもはどうするのか?)というものであったりします。

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でも、一つ言えること。

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こうした検査をどんどん受けなければ、私たちは一向に「新型出生前診断をどう扱えば良いのか?」分からないのです。

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もしかすると、新型出生前診断を受けて中絶する数より、他の要因で中絶する数の方が多いとすれば、新型出生前診断について議論するより先に、他の要因を解決しないといけないでしょう。

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私たちは、この変化に対応していく必要があります。

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変化を怖がっていては、何も変わません。

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アメリカのように障がいと健常者が同じ会社に勤めて、同じ給与をもらえるような社会になっていくかもしれませんし、

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アイルランドのように、国が新型出生前診断の費用を全て負担して、中絶を合法化にして、国が障がい者の保障をしなくて済むような政策をとるのか。

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どうなるかは、未来にならないと分かりません。

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でも、新型出生前診断が受ける人が増えないと、社会は何も変わらない。


正直、ふつうに会社に勤めていて、子どもを育てながら仕事と育児を両立しようと考えていた女性が、子どもに染色体異常が見つかれば、仕事を辞めざるを得ないでしょう。


そうなれば、月にもらっていた給与も、ボーナスも手当も全て無くなります。


それを国が保証してくれるわけでもありません。


子どもを育てるということは、簡単なことのように思いますが、今は時代が違います。


登下校中の子どもが、襲われて悲劇を迎える。

そんなことをニュースでよく見聞きします。


こんな時代だからこそ、夫婦は不安なのです。


まして、景気も停滞していますから、仕事を辞めて育児をしても、お金がなくなる一方で、金銭的な援助ももらえない。


そうなると、仕事を続けられる方法として、染色体異常が早期に分かれば、羊水検査をして中絶をすると考えても、何も否定ができないのです。


お金が全てではないですが、お金がないと生きていけません。

死んだらただの紙切れですが、生きている限りお金はお金です。

自分、家族、子どもを守るための武器になるのです。


社会的なサポート、例えば、障がいを持った子どもが生まれても、元の仕事ができるように家政婦さんを国が保証するなりしないと、今の社会では産む決断をするのは、大変だと思う思います。


でも、新型出生前診断を受ける夫婦がどんどん増えていくことで、社会は「そうなっていく。」と思うのです。


社会的なサポート体制が整うように、「変わっていく」のです。


ですから、新型出生前診断を受けたいと思うのであれば、迷わず受けて欲しい。


それが、子どものため、日本のためになるのです。


もちろん、受ける受けないは「自由」ですし、

産むか産まないかの選択も「自由」です。


受けることは、アイルランドのように強制ではありませんし、ベトナムのように陽性なら即中絶ではありません。


日本は、そうした選択する権利を尊重している国ですから、自分たちらしい選択をしてもらえれば良いかと思います。