新型出生前診断の結果の捉え方
お腹にいる赤ちゃんが、健康かどうか知る権利をお母さんそして、お父さんはあると思います。
新型出生前診断(NIPT)について、様々な議論が交わされています。
中には、検査を受けず、出産してダウン症候群の子どもを授かった母親もいます。
そういった方の中には、「病気だとしても産んで良かった」と思う人もいれば、「検査で異常が分かっていたら中絶していた」という人もいます。
中絶するかどうか、命の選ぶ権利があるかどうかということと、
検査や治療などが同じエリアで問題として挙げられている。
でも、生まれる前から染色体異常があれば、本当にこの世に産んであげて良いのか?
ご夫婦は、必ず悩むと思います。
しかしながら、NIPT検査で陽性が出た夫婦の、96%は中絶をしています。
それでは、中絶をする夫婦が悪いのでしょうか?
それとも、NIPT検査が悪いのでしょうか?
そもそも、私たちには命を選ぶかどうかの前に、自由な権利というものを持っています。
だから、自分の好きな人と結婚したり、仕事を選ぶことができるわけです。
その自由という上に成り立った、胎児というのも、そのご夫婦がどういう選択をしようが自由だと思うのです。
ただ、闇雲に中絶を希望されるなら、それは叱るべきことかもしれませんが、
そんな夫婦は、1人もいないと思います。
そもそも、NIPTは2013年から実験的に行われています。
ですから、検査の際には、本来検査に必要な血液は10ccですが、
研究のためにプラス10cc
計20ccの血液を採取しています。
そして、費用は20万円前後。
サラリーマンの初任給ほどのお金を掛けてでも、子供の情報を知りたいと思う人が、
陽性だから、即中絶を選ぶ人なんているでしょうか?
障がいを持つ子供の親というのは、常に不安に駆られています。
ふと、自分が亡くなってしまったら、この子はどうやって生きていけば良いのか?
そんな思いを抱えているわけです。
これは、夫婦や検査自体を否定することはおかしいのではないかと思うのです。
医療というものの、在り方というのは一体どうあるべきなのでしょうか?
倫理や社会的な目を気にしながら為されるものが、医療なのでしょうか?
日本人という国民性が、こうした検査や医療の発展を妨げているような気がしてなりません。
また、優生保護法、母体保護法といった法律が、こうした中絶に対する反発を産んでいます。
しかしながら、法やこうした検査というのは、受ける人や享受する人のためにあるものであって、社会のためではない。
しかし、そうした全てのものは社会のためにあるとされているのです。
ですから、私たち国民は、そうした社会のために生きているのではなくて、自分のためにこの命を懸けて生活を全うしているわけですから、
お腹の子供のことをもっと知りたいと思って検査を受けることは大いに良いことなのです。
この世から、障がいを持った子供が居なくなるんじゃないか?という懸念をしていますが、
医療というものは、そうした異常や病気というものを治すためにあるものです。
ですから、以前大量感染を起こしていたような感染症は今ではほとんどかからなくなっています。
だからといって、その感染症にかかった人たちが忘れられた訳ではありません。
そうした、歴史を背負いながら医療というのは、向き合いそしてその問題を解決する。
これが医療であるわけです。
正直なところ、障がいを持った子供が居なくなるという懸念をしているのではなくて、
自分の子供は障がいを持っているのにみんなは持っていないという勝手な劣等感を背負っているのではないですか?
今の時代、障がいを持っていても、世の中の多くの人を幸せにしている人だってたくさんいます。
私は、悲劇のヒロインのような感覚でいてはいけません。
視力が落ちてメガネをかけていること自体も、障がいといえば障がいなわけで、
何も先天的な障がいだけが障がいではないのです。
間違っていけないのは、健常者でも一人一人自分なりにコンプレックスや障がいを持っています。
こうした話が、医療の話と一緒にしないといけないこと自体、おかしな国だと思いますが、やはり大事なのは、
夫婦が受けるか受けないか決めたことに、周りがとやかく言うことは無いのです。
決めたのであれば、そうした決断をサポートしてあげるべきなのです。
もし仮に、陽性だとしても、染色体異常を持って生まれたとしても日本という国で生きやすい制度を作れば良いだけなのです。
日本には、そういった制度がないから、陽性が出ると96%の方が中絶をしてしまうのです。
現に、アメリカでは州政府がこうした先天性の疾患を持つ子供が、一生涯生活できるようなサポート体制が出来ています。
日本というのは、本当に遅れた国なのだと日々痛感させられます。
それでは、次回に続く
新型出生前診断についての書籍を紹介しておきます。
参考になるか分かりませんが、日本がどうしてこれほどにNIPT検査に敏感になっているのか、歴史的な背景からも分かる本です。
新・出生前診断のすべてが分かる本: 夫婦はなぜ、イギリスへ?
- 作者: 前進夢
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